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淳子のてっぺん  唯川恵(著)

世界で女性として初めてエベレスト登頂に成功した、田部井淳子氏をモデルにした小説。女性が山に登ることが少なかった時代に女性同士として初めて冬の谷川岳一ノ倉沢の登攀に成功し、女性だけの登山隊で世界初のエベレスト登頂を目指す。


Amazonの『淳子のてっぺん』のページ

Wikipediaの田部井淳子氏の記載(出身地、家族のこと、登攀パートナーなど)から、ほぼほぼ実話のよう。
「女だてら」とか「男勝り」なんて言葉は、今ほとんど死語になっているけど、淳子はそんな時代に「女なんだから」、「女なのに」と言われて生きてきた。幼少期から、女ゆえの葛藤を抱えながら折り合いをつけていくさまが興味深かった。女だからといって甘えない、だけど、相手や周囲の気持ちを読んで、問題を回避するように注意を払う。

ヒマラヤ登山(エベレストとアンナプルナ)はシェルパが荷物を運んでルートを先に行ってガイドしたうえで、登山隊は登る。つまり、添乗員付きツアーのようなものだということを知った。
THEME:文学・小説 | GENRE:小説・文学 |

蜜蜂と遠雷 恩田陸

優秀な新人ピアニストを輩出して世界の注目が集まりだしている芳ヶ江国際ピアノコンクールには、今回規格外のコンテスタントが参加していた。風間塵。16歳の少年。演奏活動歴がなく音楽学校にいたわけでもない。けれども、先頃亡くなった伝説的なピアニスト、ユウジ・フォン=ホフマンに師事し、その推薦状を携えていた。ホフマンは取った弟子の数は少なく、推薦状を出したことがなかったことから審査員たちは大きな衝撃を受けていた。


Amazonの『蜜蜂と遠雷』のページ


面白かったのか、面白くなかったのかを言えば、面白かった。

読みだしてすぐ思った。語り口が距離と時間を感じさせる。ちょっと人を食ったような。『アラビアの夜の種族』を思い出した。つまり、主な舞台を現代の日本としながら、ファンタジーのタッチがある。
この感触は間違っていなかった。コンテスタントの演奏で、別のコンテスタントがヴィジョンを見る。あるいは演奏中にヴィジョンを見る。
また、風間塵が、同じコンテスタントの栄伝亜夜を「おねいさん」と呼ぶのも現実離れしている。いくらヨーロッパで過ごし学校に行っていなかったとしても、16歳の日本語を話す少年が気に入った相手の名前を呼ばず「おねいさん」と呼ぶのは普通に考えて不愉快だ。ファンタジーでなければ許されない。

コンテスタントの中で最初に登場する風間塵は父親の養蜂業を手伝っている。本のタイトル『蜜蜂と遠雷』からしてもこの少年が主人公であり、この少年の成功物語になるのだろうと思うのだが、風間塵にについて語られる部分は案外少ない。有力なコンテスタント4人が同じぐらいの比重で語られる。中でも栄伝亜夜のウェイトは大きい。

天衣無縫な自然児がピアノコンテストに大旋風を巻き起こす。『ピアノの森』の一ノ瀬海と後半の話を思い起こさせられた。それだけでも十分に面白い話として成立するが、本作品にはまだトリックがめぐらされていた。
ホフマンの推薦状のことばを解釈し、その言葉どおりになるというところ。パリのオーディションから風間塵の演奏を聴き続けた審査員の嵯峨美枝子が巧みにナビゲーションする。最後にそこに鍵があったのだと知る。

ピアノ曲が出てくるので自然と脳内BGMはピアノ曲になった。
曲名を言われて確実に曲が頭に浮かぶのはサティの「あなたがほしい」とショパンの「バラード第一番」(スケオタなら否が応でもこの旋律は頭に浮かぶだろう…これが羽生結弦に2個目の金メダルを取らせたのだから)ぐらいだった。あとは聞いたことがあるかもしれないけど、よくわからない。なので、作曲家名から連想される曲を適当に頭の中で鳴らしながら読んでいた。
でも途中でふと気づき、スマホで曲名を検索してYouTube動画を機器ながら読んだ。これは、お手軽でいい。読書がメインなのだから音質に高いものは求めない。むしろ読書の邪魔にならないほどほどの音質がいい(ハイレゾだと音楽に耳を奪われるし、ノイズがあってはそれも注意を奪われる)という点でもスマホからというのは私にとって大正解。今後、読書していて曲名が出てきたらこの方法をまた使おう。
THEME:文学・小説 | GENRE:小説・文学 |

明るい夜に出かけて 佐藤多佳子

夜に明るく周囲を照らすコンビニ。
俺、富山は、接触恐怖症という心の病を抱え、大学で付き合っていた女の子のからみで、ソーシャルメディアで晒されたという事件で、大学に通えなくなり、休学中。
世田谷区の実家を離れ、海に近い横浜市の南でアパートを借り、コンビニの深夜バイトで生活している。
ある晩、偶然勤務している店で、自分が気に入っている番組、アルコ&ピースのオールナイトニッポンの職人(番組に投稿するリスナー)に会う。


Amazonの『明るい夜に出かけて』

真夜中に感じる独特の気持ち。高揚感、充たされたような、飢えているような気持ち。孤独なような、その時間の空間を支配しているような。どこかに仲間、自分と同じような人がいるのじゃないか、そんな人に巡り会いたいというような気持ち。
そんな真夜中に感じる何かが、本書で物語として表現されている。
深夜ラジオなんて中高以降、何十年も聴いていない、夜中にコンビニに行く、または、外を歩く、海を見に行くなんてことも長いことやっていない。最近、夜中に起きていることもよくあるが、仕事に追われているか、読書でうっかり眠り損ねているときだけだ。
それでも?それだから?伝わってくるものがあった。

滑らかで豊かな展開がパンチの効いた設定の上を走る。
接触恐怖症で、人に触られそうになると相手が女の子でも突き飛ばしてしまう俺。「虹色ギャランドゥ」というラジオネームの紙一重の投稿をする天才的職人が小柄な女子高校生。コンビニの深夜勤務のリーダーが、ライブやSNSで発信する「歌い手」で、確実なファンがいて、モテるのに破綻型の女の子が好み。
登場人物が有機的にからむことで生まれるうねりとハーモニー。
楽しんだ。

もうぬげない ヨシタケシンスケ

こどもの「ぼく」が服が脱げなくなって考えたこと。


Amazonの『もうぬげない』のページへ

ぼくのふくが ひっかかって ぬげなくなって、
もう どのくらい たったのかしら。


現状の提示→回想→現状説明→状況維持の空想→現状の問題→状況悪化→他者の介入と解決→類似問題の発生
服が脱げないまま、話が発展していき、服が脱げないままの生活を空想する。
どうなるの?ワクワクする。
ポーカーフェイスの猫を頭に乗っけて外を歩くさまなど、イラストも和める。

だって、ふくが ひっかかってるだけで、ほかのひとと
なんにも かわらないんだから。


服が脱げなくなったこどもを例えとして、精神的、状況的に似たような人や社会を暗示しているのではないかなんて思う。自分や、自分の周り、社会、歴史の「もうぬげない」を考える。

最初のページでの現状を示した導入の次が、状況に至るまでを説明する回想シーンと、時系列成っていない。こどもが読んで理解するには難しいのではと思うけど、それは自分がそういふうに話が飛ぶのに弱いからそう思うのだろうか。
THEME:絵本 | GENRE:本・雑誌 |

心とろかすような―マサの事件簿 宮部みゆき

元警察犬で今は蓮見探偵事務所の犬となっているマサが語る事件簿。

心とろかすような
てのひらの森の下で
白い騎士は歌う
マサ、留守番する
マサの弁明


Amazonの『心とろかすような マサの事件簿』のページ

短編だから軽い話ばかりかと思ったが殺人事件も出てくる。

白い騎士の話は悲しいけれど、企業買収で出てくる「ホワイトナイト」の由来を知り、満足。

『パーフェクト・ブルー』からの流れで諸岡進也はもっと登場し、糸ちゃんとの関係も発展していくものかと思いきや、そうでもなかった。

『マサ、留守番する』は、動物虐待がモチーフなので、一番つらいかった。
THEME:ミステリ | GENRE:小説・文学 |

満願 米澤穂信

夜警
交番勤務の巡査が殉職した。上司の巡査部長が殉死した部下の配属から死までを語る。

死人宿
去られた元恋人を追って山奥の温泉宿に。その宿は近くに有毒ガスが溜まる場所があり、自殺目的に泊まる宿泊客が後を絶たない。

柘榴

美しく策にも長けていたさおりは、大学のゼミで出会った成海に魅了され、他の女子たちを注意深く蹴落とし、成海と結婚したのだが、成海はとんでもない男だった。

万灯
商社に入社し、海外勤務で順調に実績を上げ、出世しつつあった「私」。冷静で迅速な決断には間違いがなかったはずが、大きく歯車が狂うことになった。

関守
伊豆の峠道に起こった都市伝説の取材で、ほとんど客のない峠のドライブインに立ち寄った。店を切り盛りする年配の女性に都市伝説について水を向けると思いがけず様々なことを教えてくれた。

満願
大学時代に下宿していた家の奥方・鵜川妙子が殺人で裁判にかけられた。弁護士の「私」は、恩義も好意も感じていた妙子の弁護を進んで引き受けるが、妙子は途中で控訴を取り下げ服役した。「私」は事件が正当防衛によるものと考えていた。

満願満願
(2014/03/20)
米澤 穂信

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それぞれが違った味わいでミステリーであり、ホラー。短編ながら、どれも伏線が効いていてトリックや最後の落ちに感心させられた。

今となってはどうしてこれを借りることにすることにしたのかわからない。最初の短編を読んで警察小説だからかと思ったが、残りは警察小説じゃなかったし。受賞か何かで内容紹介を見て図書館で予約して借りた。だが、何が読みたいと思わされたのかが予約から何ヶ月も経った今ではわからないのだ。
単にミステリーと思うと陰気なトーンがなんともやりきれない気にさせられたのだが、「インシテミル」や角川学園小説大賞(ヤングミステリー&ホラー部門)奨励賞というデビュー履歴からして「ホラー」色の強い作風だということを理解し、何となく腑に落ちた。
THEME:ミステリ | GENRE:小説・文学 |

十津川警部 君は、あのSLを見たか

会社の会長(かな)が、誘拐されて、それが、犯人として...と展開だけ考えると、すごい。

十津川警部 君は、あのSLを見たか (講談社ノベルス)十津川警部 君は、あのSLを見たか (講談社ノベルス)
(2010/10/07)
西村 京太郎

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ブレイズメス1990

ブラックペアンの続き。
卓越した独自心臓手術術式を持つ天城幸彦。医者として「そんなのあり?」な倫理観を世良に突きつける。
ともあれ世良は院長からの特命を果たし、モナコから天城を東城医大に引っ張ってくる。
ブラペ同様の、Bien sur!、クサい登場人物(医者たち)が天城の心臓外科専門棟の設立の話にかき乱される。

ブレイズメス1990ブレイズメス1990
(2010/07/16)
海堂 尊

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死ねばいいのに

何者かに殺された一人暮らしの鹿島亜佐美(アサミ)。20代、派遣労働。

まず渡来健也(ケンヤ)が、アサミと特別親しかったわけではないのだが、アサミについて知りたいとアサミの生前にもっとも深く関わり合いがあった人々4人に話をきいて回る。別に事件を解決したいわけではなくてという設定は、興味をそそられた。ケンヤと一緒に探求をしている気分。ではあるが、探求された側から語られる。ある意味、一粒で二度おいしい。ケンヤの正論(?)とケンヤと接する人々、一人一人に異なる苦悩。

語りの人物は毎度変わるのにケンヤの人物像にブレはない。しかし実は、ケンヤが何を考えてどう感じているかはケンヤの台詞とケンヤと接した人物の描写からしか情報が与えられていない。

そして5人目。ケンヤは、アサミの殺人事件担当の刑事に話を聞きに行く。4人目までと同様の調子で、警部補を苛立たせる。そして何のけれんみもなく、殺人を告白する。
6人目、国選弁護士と面会。殺人に至る状況と動機(?)が語られる。

死ねばいいのに死ねばいいのに
(2010/05/15)
京極 夏彦

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GOTH―リストカット事件

短編6つ。ネタバレ御免。

I 暗黒系 Goth
子供の頃、人間がパーツになっちゃってる夢、見たことあんだ。だから、そっちは、まあいいとして、モラルが欠落してる主人公二人ってきついすね。

II リストカット事件 Wristcut
「僕」が、こんな願望を抱いていたとはね。犯人の人間観はシュールだけど、なんかわかる気がした。

III 犬 Dog
過度の愛犬家としては、犬が殺されていくのは辛かったけど、主人公の犬は無事でよかった。

IV 記憶 Twins
色白で髪の長い顔立ちのきれいな双子が、暗い願望でいたずらをする。あんまり気持ちがよくないね。気持ちがわかるだけにね。

V 土 Grave
あーっ、あーっ…て思いながら読んでいて、最初の殺人。で、次の犠牲者の恋人が彼女を見つけたときが、いい。その恋人たちのロミオとジュリエットな最後は、ロマンチックでいい。なんか滑稽だけど。

VI 声 Voice
ラストにふさわしく、やっちまったなぁ。姉妹のエピソードは、やすいが泣いてしまった。


GOTH―リストカット事件GOTH―リストカット事件
(2002/07)
乙一

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THEME:ミステリ | GENRE:小説・文学 | TAGS:
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自分的に人生で一番の読書ブーム到来。 忘れっぽいので、読んだ本のログをとることにしました。 題名だけじゃ、内容を覚えられなくて、読んだことすら忘れるほどの忘れんぼ。
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