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読んだ本、まんがについて片っ端に記録していきます。「見ました」「聴きました」も紛れています。

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2020-03-10 (Tue)

犬のおしりにしかれてます。-それでも仕えた11年の日々-

犬のおしりにしかれてます。-それでも仕えた11年の日々-

ホームセンターで出会ったトイプードル、トイプとの共同生活のまんが。Twitter、ブログに掲載されていたものの書籍化。副題で「仕えた」と表現しているところから飼い犬に対するスタンスが共感できそうだと思って読むことにした。Amazonの『犬のおしりにしかれてます。-それでも仕えた11年の日々-』のページへ読んでみると、子どもの頃、「家にあった動物図鑑の犬のページばかり見ていた。」、「そこだけ見すぎて犬のページか...

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ホームセンターで出会ったトイプードル、トイプとの共同生活のまんが。Twitter、ブログに掲載されていたものの書籍化。
副題で「仕えた」と表現しているところから飼い犬に対するスタンスが共感できそうだと思って読むことにした。


Amazonの『犬のおしりにしかれてます。-それでも仕えた11年の日々-』のページ

読んでみると、子どもの頃、「家にあった動物図鑑の犬のページばかり見ていた。」、「そこだけ見すぎて犬のページから裂け始めた。」というのも自分と同じだ(私の場合は、まるまる一冊犬の図鑑でその本だけが裂けた、だったが)と共感した。

犬が亡くなってから他の犬、動物に対して思うことも同じだった。他の犬の様子や動物の様子を見ることは依然として楽しい。見るのはつらくなってFacebookのお友達をアンフレンドしたり、Twitterでフォローしているアカウントをミュートするかもしれないなあと思っていたのだけど。

トイプと自分の犬の同じところもあれば、違うところもある。同じことを別の解釈をしていること頃もある。同じところは、そうそうと思うし、違うところもいかにも犬のすることだよねとほっこりする。
だるまさんが転んだ」も「作業の50%は犬をどける」もやったなあとしみじみする。

ブログには、書籍に収められていないものもある。トイプの賢い様子が愉快な「アイスホッケー」とか「」。どうして収録されなかったんだろう?続刊があるのかな?ブログで1話1話読むのは面倒なので第2巻が出版されたらまた読みたい。
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2020-03-02 (Mon)

混合コンテンツ解消についてのお知らせ

混合コンテンツ解消についてのお知らせ

今まで当サイト訪問時に、アドレスバーに混合コンテンツであることを示すアイコンが表示されており、訪問者のみなさまを不安な気持ちにさせていたかもしれません。申し訳ありませんでした。また、それでもご訪問いただきありがとうございました。混合コンテンツの表示(Firefox)私としても、少し暗い気持ちになっており、10年続けているブログですが、10年を機に引っ越してしまおうかとさえ思っていました。(ぐずぐずしているう...

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今まで当サイト訪問時に、アドレスバーに混合コンテンツであることを示すアイコンが表示されており、訪問者のみなさまを不安な気持ちにさせていたかもしれません。
申し訳ありませんでした。また、それでもご訪問いただきありがとうございました。

混合コンテンツの表示(Firefox)
混合コンテンツ-アドレスバー

混合コンテンツ-詳細


私としても、少し暗い気持ちになっており、10年続けているブログですが、10年を機に引っ越してしまおうかとさえ思っていました。(ぐずぐずしているうちに満10年を過ぎてしまいました)

しかし、このたび、混合コンテンツを解消いたしました。この点について不安なく本サイトに訪問し巡回していただけるようになったはずです。

混合コンテンツ解消済み

なお、混合コンテンツ解消のため、サイドバーのリンクを一部、非表示または削除いたしました。

リンク先サイト管理者のみなさまには、https化をお勧めいたします。混合コンテンツの解消方法については、混合コンテンツの防止をご参照ください。ただし、私は、ChromeのこのDeveloperツールは使わず、人力(リンクの目視/削除)で行ないました。
サイトをhttps化のうえご連絡いただきたいと存じます。再度、表示いたします。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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2020-02-16 (Sun)

姉妹対決は決着 『ミレニアム 6 死すべき女』

姉妹対決は決着 『ミレニアム 6 死すべき女』

導入レベルのあらすじストックホルムの公園にしばらく住み着いていたホームレスの男が死んだ。警察は男の死体を調べたが身元を特定することができなかった。検死をした法医学者、フレドリカ・ニーマンはその男のポケットにミカエル・ブルムクヴィストの電話番号の書かれた紙切れを見つけ、電話をかけてきたが、ミカエルには当初まったく心当たりがなかった。フレドリカはその男が殺された可能性があるとも告げた。その頃、リスベッ...

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導入レベルのあらすじ

ストックホルムの公園にしばらく住み着いていたホームレスの男が死んだ。警察は男の死体を調べたが身元を特定することができなかった。検死をした法医学者、フレドリカ・ニーマンはその男のポケットにミカエル・ブルムクヴィストの電話番号の書かれた紙切れを見つけ、電話をかけてきたが、ミカエルには当初まったく心当たりがなかった。フレドリカはその男が殺された可能性があるとも告げた。

その頃、リスベット・サランデルはモスクワにいた。実の妹、カミラ(キーラと名乗るようになっている)を殺すために。

 

すごく個人的な感想・反省

本は集中して読まなければダメ。また、些細と思えるエピソードもきちんと読まなければダメ。そうでないと、面白くなくなってしまう。この小説はそういう話だった。

本書で集中しないで雑に読んだせいで、終盤のさまざまな種明かしの段になって「ああ、そういうことか」という最大の楽しみがぼんやりしてしまった。
途中で他の本を何冊か読むので中断した。読み始めてから読み終えるまで1か月ぐらいかかっていた。また、興味がないことは飛ばし気味に読んだ。それで記憶があいまいになっていた。

さらに、身元不明の男の内面について想像しようと考えなかった。アメリカ人ジャーナリストの役割を軽んじていた。自分が漠然と想像する展開のヤマが外れたとも言える。本は先入観なく書かれていることを大切に読みとらなきゃね。本だけじゃない、何事もね。

ただ、本書はひどく残虐なシーンが少ないと感じたのはそのおかげかも。ぼんやり雑に読んでいるから感じなかったのかも。個人的に残虐なシーンはなければないに越したことはないと考えている。
身元不明の男は殺されたかもしれないという死に方だったし、終盤のキーラ一味とリスベットの対決も銃撃戦や炎の燃え盛る炉があったわりには控えめ。ミカエルが受けた拷問は…だけど。

エコなの?

ポジティブなコメントにならないのが残念だけど、リスベットはこんな人物だったろうか。リスベットの活躍ぶりがちょっと安易ではないかと感じた。妹を殺そうとしていること、短い期間を一緒に過ごしたガールフレンドの夫に対しての行動。その力をどうやって得たか、どうしてリスベットがそういう行動に出るのかということをもっと書き込んでほしかった。
また、本巻ではカミラがこれまでのシリーズでしてきたことの記述がない。まさか、私が読み落としている?
シリーズの過去作に書いてあることは基本、繰り返さないという方針のようだ。
過去に読んだことは1か月ぐらいまでならそこそこ覚えていられるかもしれないけど、1年以上前に読んだ話の続きを読むのは、それなりにおさらいが必要。その意味でリスベットやその他の登場人物の人物像やカミラ(キーラ)がしてきたことの記述がほしかったところだ。
過去作を読みなおしてから、もう一度読めば相当面白いのかも。

でも、軍人上がりのスヴァンテ・リンドベリが不意打ちとは言え、ヨハネスの妻、レベッカに足を引っかけられて転び、ヨハネスとレベッカの逃走を許してしまうとか、やっぱり全体にリアリティがちょっと足りなかったかな。

ミカエルの記述に関しては、うん、そういう男だったよねと思えた。
リスベットのストックホルムのマンションを訪ねたところ、引っ越ししてしまっていると知り、悲しげな犬のような風采をたたえるところとか、
評論家のカトリン・リンドースとダチョウ倶楽部のギャグのごとき喧嘩腰の状況から、一転、彼女にキスをし、

ふたりはソファーに沈み、やがて床に倒れた。

という相変わらずのプレイボーイぶりを発揮しているところとか。

結局は面白かったのかも

寝る前の読書は眠気を感じて寝るまでなので、長くても30分程度で終わってしまうのが通常だけれど、これは一晩につき1時間は平気で読めてしまった(それは健康管理上よろしくないのだけど)。この点では面白かったと言える。事実、どきどきして眠気が覚めていくと感じることもあった。

ヨハネス・フォシェルがエベレスト登山での真相を語るところあたりからは一気だったな。

シリーズの完結?

ハヤカワ・オンラインによると「今世紀最高のミステリ・シリーズ、ついに完結!」ということ。
だけど、ヘレンハルメ氏の「訳者あとがき」によると、判明していることは、本作がラーゲルクランツ氏による『ミレニアム』シリーズの最終話であるということや、シリーズ版権の権利者にあたるラーソンの父と弟がシリーズを刊行してきた出版社との契約を打ち切ることにしたというだけ。
件のコピーは、ラーゲルクランツのミレニアム・シリーズが完結したという意味なんだろうか。

四社が版権をめぐって遺族に連絡を取っているが、現時点で継続されるか否かもはっきりしていないということ。
しかし、ヘレンハルメ氏のシリーズのあとがきをずっと読んできて、さらにラーソンのパートナーだったガブリエルソン氏の書いた著書を読んだことから想像されるところでは、このまだ続きが出るのではないかと思われる。金の卵を産むあひるをラーソンの父と弟が手放すようには思えない。

個人的にはラーソンの未完の遺稿である『ミレニアム』の第4作も何らかの形で完成したものを読みたいし、ラーシュ・ケプレルあたりが、ラーゲルクランツからの『ミレニアム』を引き継いで書きつないでほしいとも思う。

ラーゲルクランツの今後

「訳者あとがき」によると、ラーゲルクランツが独自のミステリ三部作執筆を予定しているということ。
こちらも期待する。
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2020-01-24 (Fri)

切ないクリスマス 『その雪と血を』

切ないクリスマス 『その雪と血を』

タイトルに惹かれた。「その雪と血を」どうするの?話の起承転結しか追わない私は、結局どうするのかということは気にせず読みとばしてしまった。でも、読み終わって考えるに、「自分の気に入るように解釈する」かな。主人公のオーラヴは、想像力が豊かだ。自分が殺した男の足もとの血を吸った雪から昔話の挿絵にあったような、王のローブを連想する。もっとも表紙にはタイトルとして"BLOOD ON SNOW"とある。直訳では「雪に付いた...

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タイトルに惹かれた。「その雪と血を」どうするの?
話の起承転結しか追わない私は、結局どうするのかということは気にせず読みとばしてしまった。
でも、読み終わって考えるに、「自分の気に入るように解釈する」かな。
主人公のオーラヴは、想像力が豊かだ。自分が殺した男の足もとの血を吸った雪から昔話の挿絵にあったような、王のローブを連想する。

もっとも表紙にはタイトルとして"BLOOD ON SNOW"とある。直訳では「雪に付いた血」というところ。
訳者は英米文学翻訳家であるし、重訳らしい。
言語はノルウェー語のようだ。

舞台はノルウェーのオスロ。

最後は『マッチ売りの少女』のようだった。
切ない。けれどもオーラヴは幸せなのだろう。マッチ売りの少女と同じように。
既存の物語を自分の気に入るように作り変えるというオーラヴは、ある意味、今の自分と似ている。ありのままの形では満足ができない現実に生きている。そのまま受け入れられず、ささやかな工夫を凝らすのだ。
オーラヴと自分を重ねてしまった。だから、読み終わった後大泣きした。オーラヴに対しても自分が置かれている状況に対しても。


Amazonの 『その雪と血を』のページ

元々、ジョー・ネスボは北欧ミステリ ファンとして気にはなっていた。そこにクリスマスシーズンにTwitterのタイムラインに流れてきた。
ジョー・ネスボについて調べてみたら、私と誕生日が一緒であることを知る(生まれ年は違うけど)。誕生日が一緒って特別。
本作品がシリーズの途中の作品ではないということも確認した(途中から読むという半端感は避けたい)。
“パルプ・ノワール” が何であるかということはすっ飛ばして、読むことにしてしまったが、“パルプ・ノワール” はミステリーではない。殺るか殺られるかの世界に生きるチンピラの物語のことらしい。
自分が積極的に読みたいジャンルの本ではなかったが、頭が悪いのだか、良いのだかわからないオーラヴには共感した。牡羊座、特に3月生まれの牡羊座の感性、特性が描かれていると思う。誕生日が一緒ということに着目した自分の勘は正しかった。

余談だが、本作を読んでいて「~のようだ」と思ったのは、マッチ売りの少女だけではない。
『きのう何食べた?』のケンジの父親のエピソードのようでもあった。たまにしか帰ってこない、帰ってきてはDVを振るい、母親から金を巻き上げて出て行く存在。
『熊と踊れ』だったっけ、そこでもやっぱりそんな父親が出てきてた。まあまあよくある父親像なんだろうか。
ケンジの場合は、ケンジが高校生(中学生だっけ?)になり、心の中がオトメなのにガタイだけ立派になったケンジがにらみをきかせただけで、父親はケンジの実家に寄りつかなくなった。ハッピーエンド基調の話とシリアスな悲劇とでは、同じようなエピソードでもちょっとしたことで流れが変わっていくのだな。

ジョー・ネスボの他のシリーズ作の表紙にも英題が表示され、訳者の名前にも英米文学翻訳家が出ているので、はなから重訳が当たり前というスタンスであるよう感じる。今まで、訳者のあとがきで、ドイツ語やフランス語からの重訳だと断り書きされていたのでそれが出版界の決まりかと思っていたけどそういうものでもないということがわかった。

つづきを読む

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2020-01-09 (Thu)

ミステリ愛がちりばめられた『カササギ殺人事件』

ミステリ愛がちりばめられた『カササギ殺人事件』

まず、ネタバレを少し含むあらすじ。作中作をまるまる1作含むという、長編構成。なので、私(記憶力や理解力が限られている人間)だったらこのぐらいのあらすじを知っておいてから読んだほうがすらすら読めるであろうという内容を書いておく。スーザン・ライランドは出版社、《クローヴァーリーフ・ブックス》の文芸部門の責任者である編集者。人気ミステリ作家、アラン・コンウェイを担当している。そのアラン・コンウェイの最新...

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まず、ネタバレを少し含むあらすじ。
作中作をまるまる1作含むという、長編構成。
なので、私(記憶力や理解力が限られている人間)だったらこのぐらいのあらすじを知っておいてから読んだほうがすらすら読めるであろうという内容を書いておく。

スーザン・ライランドは出版社、《クローヴァーリーフ・ブックス》の文芸部門の責任者である編集者。人気ミステリ作家、アラン・コンウェイを担当している。
そのアラン・コンウェイの最新作、『カササギ殺人事件』の原稿をワイン、つまみ、タバコとともに寝室に持ち込んで読んだ。
しかし、その原稿には結末部分がなかった。そして、《クローヴァーリーフ・ブックス》の最高経営責任者、チャールズ・クローヴァーにアラン・コンウェイは事故で亡くなったと知らされる。さらに遺書とおぼしき手紙も送られてきたとも。
スーザンは『カササギ殺人事件』の結末部分を見つけるためにアランの住まいに赴き、さらにアランの恋人、姉、隣人など関係者に話を聞く。
スーザンはアランの姉の言葉を信じ、アランの死は自殺ではない、殺人によるものだと考えるようになる。しかし、アランは気むずかしい人物でさまざまな人間と軋轢を生じており、『カササギ殺人事件』同様、アランの周りにはアランの死を願うであろう、動機を持つ人物だらけであった。

 
Amazonの『カササギ殺人事件 (全2巻)』のページ

本文には、ミステリ愛好家の知識を試す、あるいはミステリ史を概観するような、また読書案内のような内容がふんだんに盛り込まれている。
これが本作最大の特徴であり、読んでいて楽しかった点。

上巻はスーザンによる作中作の『カササギ殺人事件』の紹介、5ページで始まり。そのあとは、普通の洋書の体裁で、作中作の『カササギ殺人事件』が続く。作者、アラン・コンウェイの紹介文、アランのシリーズ作である《アティカス・ピュント》シリーズ既刊一覧。次に「気をつけろ、エルキュール・ポワロよ!頭の切れる小柄な外国人がやってきた-そして、きみのお株を奪おうとしている」などの「本シリーズに寄せられた絶賛の声」を経て、作中作の本文に入る。残りはすべて作中作。
舞台は1955年のイギリスの小さな架空の町(バースから近い)。アガサ・クリスティの世界。これは、あれのオマージュだろうというのがそこここに出てくる。ミステリ ファンとしての読書歴、記憶を試されるように。
思いせなくても、知らなくても大丈夫。下巻でちょくちょく答え合わせが出てくる。
たとえば、137ページ。

マシューの言うとおりだ。『カササギ殺人事件』にも、アガサ・クリスティへのひそかなオマージュが、少なくとも五、六ヵ所はちりばめられている。たとえば、サー・マグナス・パイとその妻がサン=ジャン=カップ=フェラで泊まっていたのは、《オテル・ジェヌヴィエーヴ》だけれど、『ゴルフ場殺人事件』にはこれと同じ名のホテルが登場する。


このあと、ミス・マープルの住む町の酒場、『エッジウェア卿の死』に登場する米国人女優の名から、『パディントン発4時50分』を意識した冗談、『アクロイド殺害事件』(ちゃんと東京創元社バージョンの題名に訳されている。ハヤカワではなく)の語り手の名、古い童歌を使っているところがスーザンによってまとめて指摘されている。

このマシューというのが、実在の人物であり、アガサ・クリスティの孫、マシュー・プリチャードだ。アランとチャールズが会員制クラブのレストランで会食をした際に隣のテーブルに居合わせた人物として登場している。
全面的に好人物として描かれている。本当にそうなのかもしれないし、この業界で生きる人間としての作者ホロヴィッツの抜け目なさなのかもしれない。


スーザンの住むクラウチ・エンドも実在の町。スティーヴン・キングの短編小説のタイトルにもなっているので、そこもかけてあるのかもしれない。
ハイゲート駅から徒歩15分のところにあるクリフトン・ロードと描写があるので、この辺だ。スーザンが語っているとおりヴィクトリア朝様式の建物が並ぶ一角
自分がロンドンでホームステイをしていた2軒が両方ともヴィクトリア朝様式の建物だったのでヴィクトリア王朝様式だと、いかにもロンドンだと感じ、テンションがあがる。

アランの関係者が住む町はジョージ王朝様式となっており、こちらも実際のバース周辺の典型的な建築様式に基づいている。
バースに行きたくなった。


登場人物は、作中作の『カササギ殺人事件』とスーザンを探偵とする世界(便宜上、”本編”とする)の両方とも、そこそこの数。つまり、記憶力を要する。
登場人物のリストは、上巻の作中作の巻頭近くに作中作の登場人物、下巻巻頭に本編の登場人物が記載されている。
上巻は作中作が大半を占めるので、本編の登場人物リストは必要ないが、下巻はそうはいかない。上巻の登場人物リストを首っ引きで読んだ。


作者、アンソニー・ホロヴィッツは、脚本家でもある。
そもそも私が本作を読むことにしたのは、名探偵ポアロ、刑事フォイルのクレジットにこの名があることに気がつき、この人が小説を書いていれば面白いだろうと思って検索して見つけ出したというのがいきさつ。
テレビ番組や映画のプロデューサーという人物を登場させてその人物にウィットの効いた台詞をしゃべらせているのは、この業界の人間ならでは。

スーザンは、アランの葬儀に出た際に、途中で帰ろうとしていた会葬者の一人、マーク・レドモンドを捕まえ、話をする。

「世間はもう、殺人事件には飽き飽きしているんじゃないでしょうか?」
「ご冗談を。『主任警部モース』『刑事タガート』『ルイス警部』『警部フォイル』『新米刑事モース』『フロスト警部』『刑事ジョン・ルーサー』『リンリー警部 捜査ファイル』『心理探偵フィッツ』『ブロードチャーチ—殺意の町』、さらにはあのいまいましい『メグレ警視』や『刑事ヴァランダー』にいたるまで、このそうそうたる顔ぶれを見てくださいよ。英国のテレビから殺人事件を引いたら、いったい何が残るっていうんです?

ここで英国制作のテレビドラマシリーズ一覧の一丁上がり!
このリストを元にドラマを見るのもいいけど、原作(があれば)を読書って手もある。だって、『新米刑事モース』、『刑事ジョン・ルーサー』、『警部フォイル』、どれもドラマは面白かった。『主任警部モース』も今、毎週録画している。『刑事ヴァランダー』は原作が面白いということをすでに知っている。

また、アランの相続人と著作権契約の同意を得られてシリーズ全作のドラマ化に乗り気なレドモンドに、最新作が完結していないとスーザンが言うと、

「そんなものは、どうにでもなりますよ。『バーナビー警部』なんて原作は七冊しかないのに、そこから百四話も作り出したんだから。(後略)」


七冊の原作から百四話も作り出したのは、脚本家だろう。それは他ならぬアンソニー・ホロヴィッツだ。思わず吹き出す。


自分はミステリばかりを探して読んでいる。それが一番の娯楽である。人が殺される話を読んで楽しんでいる。それって人として健全なのだろうかと、ときに考える。
そんなミステリ愛好家を勇気づけるようなメッセージもある。
スーザンの気持ちの記述。

 わたしはずっとミステリが大好きだった。ただ仕事として編集していただけではない。本を読めるようになってからずっと、何よりも楽しみ、ただただむさぼるように読みつくしてきたのだ。雨の日、部屋を暖めて、ただひたすら本に没頭するあの幸福。読んで、読んで、指の下のページがするすると流れていき、ふと気がつくと、左側のページのほうが右より少なくなっている。もっと速度を落とさなくてはと思うのに、結末がどうなるのか早く知りたくて、ひたすら先を急いでしまうのだ。読者をこうしてぐいぐい引き込んでいくミステリとは、小説という多種多様で豪華な形式の中でも、ひときわ特別な位置にあるのではないだろうか。それは何より探偵役が、ほかのどんな登場人物よりも、ほかに類のない形で読者と結びつくことができる存在だからなのだ。


最初にスーザンの読書のさまが提示されている。これは、ミステリ読者なら誰しも共感するところだ。しかし、ミステリの探偵役が、ほかのどんな登場人物よりも、ほかに類のない形で読者と結びつくことができる存在とはどういうことだろう。

 ミステリとは、真実をめぐる物語である—それ以上ものもでもないし、それ以下のものでもない。確実なことなど何もない世界で、きっちりとすべてのiに点が打たれ、すべてのtに横棒の入っている本の最後のページにたどりつくのは、誰にとっても心の満たされる瞬間ではないだろうか。わたしたちの周囲には、つねに曖昧さ、どちらとも断じきれない危うさにあふれている。真実をはっきりと見きわめようと努力するうち、人生の半分は過ぎていってしまうのだ。ようやくすべてが腑に落ちたと思えるのは、おそらくはもう死の床についているときだろう。そんな満ち足りた喜びを、ほとんどすべてのミステリは読者に与えてくれるのだ。


ああ、そのとおり、「わたしたちの周囲には、つねに曖昧さ、どちらとも断じきれない危うさにあふれている」。しかし、ミステリなら白黒はっきりするところが好きなのだったと思い出す。すべてが腑に落ちる満ち足りた喜びをミステリは与えてくれる。

ミステリ以外はどんな小説であれ、わたしたちは主人公のすぐ後ろを追いかけていく-(中略)いっぽう、探偵とは、私たちは肩を並べて立っている。そもそもの最初から、読者と探偵とは同じ目的を追いかけているのだ-(中略)私たちはただ、本当は何があったのかを知りたいだけであり、(中略)読者は探偵を好きになる必要も、憧れる必要もない。作品を読みつづけるのは、わたしたちがその探偵を信じているからだ。


ほかに類のない形。それはつまり、肩を並べて同じ目的を追いかけることだということが、ここに示されている。本当は何があったかを知りたいという同じ目的のために。そしてミステリ作品を読みつづける理由も示されている。
この堂々たるミステリ論は、話の流れに埋め込まれ、スーザンによって自然に語られる。
スーザンは自分の心のミステリを解き明かし、代弁してくれた。間違いなく、他のほかに類のない形で自分と結びついてくれる探偵役だ。

ちなみに、上記の最後の「中略」とした部分の中に、また、ホームズ、ポアロ、ミス・マープルなどの探偵たちが引用されている。

いやぁ、ミステリって本当にいいもんですね
と作者、ホロヴィッツから語りかけられているような作品だった。
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2019-12-27 (Fri)

舞台は六本木にある一戸建てを事務所とする家族的翻訳会社 『翻訳会社「タナカ家」の災難』

舞台は六本木にある一戸建てを事務所とする家族的翻訳会社 『翻訳会社「タナカ家」の災難』

主人公の押切可南は、33歳。閉所恐怖症になり、キャビンアテンダントを辞めざるを得なくなった。そこでタナカ家という翻訳会社の社長(家長と呼ばれている)である田中氏と知り合い、会社に誘われる。しかし、可南がタナカ家に入ってまもなく田中氏は急逝してしまう。田中氏逝去後に田中氏には離婚した妻との間に息子がいることがわかった。その息子、開地直史は、田中氏の遺産を相続したため、タナカ家の社長となった。シビアな経...

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主人公の押切可南は、33歳。
閉所恐怖症になり、キャビンアテンダントを辞めざるを得なくなった。そこでタナカ家という翻訳会社の社長(家長と呼ばれている)である田中氏と知り合い、会社に誘われる。

しかし、可南がタナカ家に入ってまもなく田中氏は急逝してしまう。
田中氏逝去後に田中氏には離婚した妻との間に息子がいることがわかった。
その息子、開地直史は、田中氏の遺産を相続したため、タナカ家の社長となった。
シビアな経営判断を行う冷徹な人物とタナカ家の社員たちには捉えられているが、ふと見せる優しさに可南は惹かれてしまう。


Amazonの『翻訳会社「タナカ家」の災難』のページ

主な登場人物と題して目次の次のページに田中氏、タナカ家の社員、相続してタナカ家の社長となった開地直史について、顔のイラストとプロフィールが記載されている。
登場人物はさほど多くないとは言え、わかりやすくて助かる。

タナカ家は六本木ヒルズの裏手の住宅街にある。むかしは立派な屋敷だったことが窺われる一軒家。
舞台設定から興味をかき立てられる。

また、翻訳を生業とし、読書好きな者として、この本の存在を知った以上、まあ、読まずにはいられなかった。
翻訳会社から仕事を受注している者として、この業界の会社の社内で社内翻訳、チェックや編集などの作業をしたことのある者として、また、ビジネスの常識を考え合わせて、気になるところがなかったわけでもないが、そこはフィクションとして流すところ、流せる範囲。
むしろ、この業界の仕事の概要が盛り込まれている貴重な一冊と捉えるべきだろう。

普通に楽しく読めたのでシリーズ第2弾、『翻訳ガール』も読もうかな。



つづきを読む

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2019-12-20 (Fri)

『聖☆おにいさん(17)』 (中村 光 (著))

『聖☆おにいさん(17)』 (中村 光 (著))

その121 背中に羽を、踵に強さをルシファーはピンヒールのブーツを履いている。人には強さの源になっているファッションがある。それがルシファーの場合、ヒールの高さだと考えられた。その122 前前前前世留学大家の松田さんがフランス語を習いに語学学校に。ブッダとイエスもついていく。その123 乙女と鎧と商品券松田さんのフランス語教師としてジャンヌ・ダルクが来た。ブッダとイエスとともに伊勢丹に行き、全身のファッション...

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その121 背中に羽を、踵に強さを
ルシファーはピンヒールのブーツを履いている。
人には強さの源になっているファッションがある。それがルシファーの場合、ヒールの高さだと考えられた。

その122 前前前前世留学
大家の松田さんがフランス語を習いに語学学校に。ブッダとイエスもついていく。

その123 乙女と鎧と商品券

松田さんのフランス語教師としてジャンヌ・ダルクが来た。
ブッダとイエスとともに伊勢丹に行き、全身のファッションをコーディネートしてもらう。

その124 火の鳥は青い鳥
ツイッターに鍵アカしかなかったイエスが父さんとガブリエルのお膳立てで公式アカウントを作ることになった。

その125 がちんこ☆カミ相撲

ブッダとイエスはイエスの父さんが持っている升席で天界場所を相撲観戦。

その126 最後まで帰れない二人
アナンダがヨハネの強さを手に入れたいとヨハネに相談。

その127 絵師と画伯とグラフィティ
高名な画家、フラ・アンジェリコがイエスの絵を描く。

その128 ゴッド・シェイブ・ザ・髭
ブッダの不注意からイエスの髭の一部がそり落とされてしまった。


Amazonの『聖☆おにいさん(17)』のページ

他愛のないギャグの数々だけど、結構はまった。
定時退社の守護聖人、ジャンヌ・ダルクの勘違い、とかとか。

関東フルカラーのルシファーは格好良かった。

松田さんは自分より年上として捉えていたけど、実は自分が松田さん世代だと気が付いた。
というか、連載・第1巻発行から10年以上経過して、いつの間にか自分が松田さん世代になっていたんだね。
松田さんは自分より年下として認識する日も来るのだろうか。
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2019-12-14 (Sat)

やさしく盛り気味のマインドフルネス解説書 『マインドフルネスと7つの言葉だけで自己肯定感が高い人になる本』

やさしく盛り気味のマインドフルネス解説書 『マインドフルネスと7つの言葉だけで自己肯定感が高い人になる本』

「私は、今、気づいています!」に始まり、「わたしは今、最高に幸せです」に至るまでの神アファーメーション7つ。それぞれのアファーメーションが持つ意味を理解して、それぞれを潜在意識に刻み込んで心から口にできるようになるための心掛けを学ぶ。自己肯定感が弱いハルカ(女性、会社員、既婚)と師匠(カウンセラー)が対話するという形式で進む。Amazonの 『マインドフルネスと7つの言葉だけで自己肯定感が高い人になる本』...

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「私は、今、気づいています!」に始まり、「わたしは今、最高に幸せです」に至るまでの神アファーメーション7つ。それぞれのアファーメーションが持つ意味を理解して、それぞれを潜在意識に刻み込んで心から口にできるようになるための心掛けを学ぶ。

自己肯定感が弱いハルカ(女性、会社員、既婚)と師匠(カウンセラー)が対話するという形式で進む。


Amazonの 『マインドフルネスと7つの言葉だけで自己肯定感が高い人になる本』のページ

ひとつの章を1週間、繰り返し読み、1週間に1章ずつ、7週間かけてマスターするのがオススメらしい。
これ、「おわりに」の中に書いてあった。なので、私は1回読んだだけ。
確かに1回読んだだけだと、「わたしは今、最高に幸せです」という気持ちにまでは達することはできない。

だけど、理屈はどうあれ、まずはアファーメーションを唱えていれば、考えや思いはついてくるというのはわかる。だから、過去のマインドフルネスの本に書いてあった、毎日、自分に関わった人々に感謝する、自分と生きとし生けるものの幸せを願うというルーティーンを実践している。
また、同じ著者の著作『1日10秒マインドフルネス』にもあった、「今、ここ」は意識するようにしている。

対話形式。師匠(カウンセラー)が仙人風に「~じゃ」などという口調で語る。というのが、読みやすい、楽しいという場合にいいんだろう。
世の中には、これがいい人が多いらしく、Amazonのレビューでは評価が高く、よく読まれているようだ。

私はマインドフルネスの本、これで3冊目。
このノリでは、はまれないので、別の本を読んでみるか、過去に読んだものをもう一度(あるいは二度三度)読み返してみるかというところ。
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2019-12-08 (Sun)

男女逆転の物語の中でさらなる逆転の展開 『大奥 16(よしながふみ)』

男女逆転の物語の中でさらなる逆転の展開 『大奥 16(よしながふみ)』

徳川家茂の正室として京都から迎えられた和宮が偽物だった。その偽物が和宮に成り代わるまでのいきさつ。勝麟太郎(海舟)登場。謀略だらけ。その中で勝麟太郎は国際情勢を理解する面白い男として登場する。徳川慶喜は悪く描かれている。私の印象だと無血開城を決断した賢い将軍だったのだが、これはもっくん(だっけ?)が演じていた大河ドラマの影響かな。うちのお祖母ちゃんも慶喜を悪く言っていたな。もちろんお祖母ちゃんが慶...

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徳川家茂の正室として京都から迎えられた和宮が偽物だった。
その偽物が和宮に成り代わるまでのいきさつ。
勝麟太郎(海舟)登場。



謀略だらけ。
その中で勝麟太郎は国際情勢を理解する面白い男として登場する。

徳川慶喜は悪く描かれている。
私の印象だと無血開城を決断した賢い将軍だったのだが、これはもっくん(だっけ?)が演じていた大河ドラマの影響かな。
うちのお祖母ちゃんも慶喜を悪く言っていたな。もちろんお祖母ちゃんが慶喜に会ったことがあるわけじゃない。慶喜は祖母にとっても歴史の人物だ。祖母の価値観ってどう形成されたんだろう。自分が幼児だった頃の祖母の年齢になった今日この頃、ふと考える。
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2019-12-05 (Thu)

『マイクロカプセル香害 ──柔軟剤・消臭剤による痛みと哀しみ』

『マイクロカプセル香害 ──柔軟剤・消臭剤による痛みと哀しみ』

環境公害の過敏症の人のための施設で働いていたことのある方に、洗剤や柔軟剤の匂い、無香料の消臭剤の匂いにさえ過敏になっていると言ったところ、この本を紹介された。「柔軟剤・消臭剤による痛みと哀しみ」ってまさに私。というと大げさだけど、柔軟剤・消臭剤による、いらだちと、かき乱される心ぐらいは抱え込んでいる。Amazonの『マイクロカプセル香害 ──柔軟剤・消臭剤による痛みと哀しみ』のページへ前半が被害者・発症者...

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環境公害の過敏症の人のための施設で働いていたことのある方に、洗剤や柔軟剤の匂い、無香料の消臭剤の匂いにさえ過敏になっていると言ったところ、この本を紹介された。
「柔軟剤・消臭剤による痛みと哀しみ」ってまさに私。というと大げさだけど、柔軟剤・消臭剤による、いらだちと、かき乱される心ぐらいは抱え込んでいる。


Amazonの『マイクロカプセル香害 ──柔軟剤・消臭剤による痛みと哀しみ』のページ

前半が被害者・発症者の声。香害アンケートの回答が60ページ余り続く。

症状は思っていた以上にさまざまで深刻なものも多い。
鼻炎、目の痛み、頭痛に始まり、吐き気、ぜんそく発作、めまい、胃痛、腹痛、動悸息切れにわたり、さらには、記憶障害、思考力低下、大量の鼻血、倦怠感で寝たきり、筋肉の硬直、重度の冷え性など想像もしなかった症状まで。

症状もつらそうだが、周囲に理解されず、クレーマーや頭のおかしい人と見なされ、人間関係にひびが入るというのは精神的につらいだろう。

自分で使っていなくても他人が使う柔軟剤の芳香や消臭剤で反応するため、職場にいられなくなり、仕事を辞めたり、お客さんが取れなくなったり。

子どもが他の子の柔軟剤等の残香に症状が出て学校に行かれないケースも。
また、中学3年で発症してその後学校に通えず、引きこもり同然の暮らしを強いられ、障害年金と生活保護で生活するという30代の人。
20年以上、そんな暮らしをしていて将来解消される見込みもないなんて。

近隣の住人の洗濯洗剤や柔軟剤、果ては川や水道水からそのような匂いを嗅ぎ取り、都市部から逃れても、農地では農薬に反応してしまう。工業地帯では工業で使う科学物質に。
病院に通うにも、電車を使うのは、乗り合わせた人からの匂いやシートへの移香で困難。自動車も新車は5年間匂いがつらいという人も。
経済的にも環境面でも生活基盤が脅かされる。

このような症状や症状をかかえる人が増えている原因を解明するアプローチが後半に続く。

まず、柔軟剤メーカーが残香を強くするためにマイクロカプセルの技術を応用するようになり、高いボリュームの香りに長時間囲まれやすい環境にいるということが説明されている。

次に嗅覚のしくみと、化学物質過敏症発症の理由となる2つの説。「トータル・ボディ・ロード」説と、「化学キンドリング現象」説。どちらにしても、製品化にあたり生成される化学物質が身心にダメージを与えていくとの説明。

そして、香害を受けたときの通常のアレルギーのようにまず「接触反応」が起きると。
次に「二次反応」が起こりやすい。これは、神経系(精神を含む)の反応により、全身の状態変化が起きるという。
それでも暴露を避けることができなければ、「防衛反応」と呼ばれる内分泌や免疫系の症状が出てくる場合もあり、体の反応としては「免疫低下」などであわられるという。
これで、被害者・発症者の諸症状の説明がつく。

柔軟剤の場合、香料の約半分は危険で有害な化学物質だという。
また、マイクロカプセル自体に問題があり、カプセル壁の材料にイソシアネートという毒性化合物が使われていると考えられるということ。本書ではイソシアネートは、杉並病(東京都杉並区の不燃ゴミ中継施設健康被害)の原因物質の1つでもあったとしている。

マイクロカプセルが使用されているのは、柔軟剤のみならず、元々農薬を長持ちさせるために使われており、他にも身近な製品として以下が挙げられている、

(前略)パーソナル・ケア製品・化粧品、シャワー用ゲル、リーブオンヘアコンディショナー、固形タイプのデオドラント、固形タイプのデオドラント、ロールオン式デオドラント、エアゾール式制汗剤、ボディーローション、化粧落とし、日焼け止めローション、セットローション、整髪用ジェル、シャンプー、オードトワレ、エアゾールボディスプレー、ヘアフォームなど。


マイクロカプセルのサイズも問題。
柔軟剤や殺虫剤には、マイクロ以下の単位となるナノのサイズの粒子を使う製品もあるという。この場合、有害な物質が肺胞上皮に沈着しても肺胞マクロファージ(免疫細胞の一種、粒子状物質を貪食する)が反応しない。


柔軟剤・消臭剤がサブタイトルに挙げられているが、被害者・発症者の声には、たばこ、排気ガスなど、従来からアレルギー物質、有害と言われるものも挙げられている。
自分にとって非常に身近な問題だと感じた。
さきほど主人の部屋に入ったら、変な匂いがした(私が苦手な2つの種類の匂いと考えているがここでは挙げないでおく)。とたんに苦しくなりせきが出始めたが、匂いがしたことを伝えると主人は自分が責められていると感じたのだろう。非常に冷淡な態度を取られた。そして、匂いの発生源を突き止めて取り除いてくれるということはないだろう。

また、具体的な製品名やメーカー名が挙げられているのだが、私がダメだと思った製品、メーカー名のものが多い。
自分が不快を感じるのは、他の過敏な人も不快を感じやすい特定の物質が原因になっているのだろう。アンケート回答者と不快感を共有しているのだ。

自分は発症には至っていないと信じたいところだが、そうでないと言い切れるだろうか。
夏でもレッグウォーマーが必要なほどの冷え性、慢性的に繰り返す頭痛や不眠といった体の不調。
昨日だって、トイレを掃除し、便器貼り付け式芳香洗浄剤を便器に付けた頃、気がついたら耳鳴りのレベルが上がっていた(元々耳鳴りがするのだが、さらにうるさくなっていた)。今日になっても鼻の奥が少しつんとする。心なしか目にも刺激を感じる。これやばいかな。
とにかく、自分で使うもの、環境には気をつけよう。

あとは、本書に書かれているように各メーカーがマーケティングの一環として消費者の声に反応して、商品や製造方法を変更して問題のない製品のみを販売してくれることを祈るばかり。

ちなみに、10月に前述の方に気をつけた方がいいと言われ、抗菌消臭剤入りの合成洗剤はやめて通常の洗濯物はマグちゃん(マグちゃんの使用個数の目安を参照してうちの洗濯量から割り出してベビーマグちゃんx2)に切り替えた。
柔軟剤も止めて、使わないか、クエン酸ベースのアラウベビー 衣類のなめらか仕上げを使ったりしている。
ニットや型崩れしやすいなどガシガシ洗えないものは、今までとおりエマールで。ただし柔軟剤はやめた。エマールは柔軟剤なしでよかったらしい。化学の先生でアトピーのあった方が他の洗剤からエマールにして改善したということだし、自分でも今のところエマール フレッシュグリーンの香りはOKなので。
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